FUNBEST コミュニケーション・ハラスメント―笑いは「相手に会話へ乗っかることを強要させる」会話術じゃない― | FUNBEST


Report

活動報告

コミュニケーション・ハラスメント―笑いは「相手に会話へ乗っかることを強要させる」会話術じゃない―

  • 2017年1月19日
c7622cc8203b08d2370a45391f1af0ef_s

FUNBEST代表の矢島です。

私はお笑い芸人をフィールドワークとしながら、笑いとコミュニケーションの関係性を研究しているのですが、研修やワークショップの講師をやっていると、参加者の顔色で、今のワークをムリに続けているかが分かるようになってきました。

私自身常に自戒しているのですが、コミュニケーションに笑いの技術を取り入れることは、「ムリにコミュニケーションを続ける」ためにやっているんじゃないんです。もちろん、無理に自分を明るい人にみせるためでも、気まずい雰囲気を無理やり変えるためにやっているのでもないんです。

これはよく誤解されるのですが、「笑い」というのが沈黙や静寂と遠い存在だと考えている人がとても多いんです。だから、沈黙や静寂を好む人には、笑いの技術そのものが心に刺さらないんじゃないかと思っている人も、かなりの割合でいると思います。

確かにバラエティ番組なんかを見ていると、トーク中心に話題がどんどん展開していって、笑いの中で盛り上がっているシーンが多いので、笑い=おしゃべりで、相手に何かを話させてナンボだろうと勘違いしている一般の方も多いようです。

私に言わせれば、「とにかく相手を笑わせて、何か話させないといけない」なんて考え方はナンセンスです。ムリにコミュニケーションを続けるために笑わせようとすると、相手だけじゃなく自分も苦しくなってきます。

このように、「相手に何か話してほしい」「この気まずい雰囲気を何とかしたい」という気持ちが強いために、相手へ会話に乗っかることを強要させてしまう状態のことを、コミュニケーション・ハラスメント(コミュハラ)と言います。「何かしゃべってよ」「何か言えよ」と口には言わないまでも、そういう雰囲気を出した段階で、コミュニケーションが苦手な人はかなり苦しいと思います。

笑いにとって大事なことは、「自分が無理をしない」ことと「相手に無理をさせない」ということです。相手に緊張感を与えず、自己開示しやすい雰囲気を作ることです。「この人は自分の味方だ」「この人と一緒にいると何か安心するな」「この人のこと好きかも」と思わせれば、笑わせるハードルはぐっと下がります。

極論ですが、相手があなたのファンになってしまえば、些細なことでも楽しんでくれますし、笑ってくれます。そこに小手先の技術は全く必要ありません。くり返しになりますが、私は、人を笑わせる技術は「会話をムリに続けるため」ではなく、「相手に安心感を与え、笑いやすい雰囲気を創るため」に身に付けるべきだと考えます。

そのために、自分と相手(または集団)に漂う沈黙や気まずい雰囲気を受け入れることが大事です。ムリにこの雰囲気を変えなきゃと思わなくて大丈夫です。「沈黙を埋めるための会話」はすぐにバレますし、「会話を続けるための質問」は自分が苦しいです。

具体的な技術として、私はよく、「ひとりごと風につぶやく」ことで相手の様子を伺います。たとえば、スマホの天気予報を見て、「うわぁ、明日雪なんだ…」と、相手に言うでもなくボソっとつぶやきます。そこで特になければそのままスル―、相手が「え、明日雪なんですか?」と乗っかってきたら会話続行です。

質問や会話は、相手に乗っかってもらうことを強要する一面があります。要は、相手の返答がないといけないってことですね。これがもしかすると、相手にとって「ちょっとはだまる時間ちょうだいよ」というメタコミュニケーションである可能性がありますので、私は相手がそう思っていないかを確かめるために、「ひとりごと風つぶやき」を使います。

コミュニケーションは自由です。沈黙や静寂もまた、大事なコミュニケーションの1つだと私は思います。皆さんも、ぜひ相手に強要しないコミュニケーション術について考えてみましょう!